プロフィール
古俣愼吾(Shingo Komata)
防災ジャーナリスト
経歴:
1945年、中国生まれ。新潟市出身。中央大学法学部卒業。広告代理店勤務の後フリーライターに転身。週刊誌、月刊誌等で事件、エンターテインメントものを取材・執筆。2000年頃からビジネス誌、IT関連雑誌等でビジネス関連、IT関連の記事を執筆。2006年から企業の事業継続計画(BCP)のテーマに取り組んでいる。

更新情報

Ask! BCP(事業継続計画)支援

東日本大震災でBCPへの関心が高まった

 BCP(事業継続計画)とは、大地震や洪水などの自然災害、火事・停電・IT障害などの事故、テロや新型インフルエンザなど不測の事態が起きたときでも、事業が継続できるよう行動手順や代替策を作り、備えておくことである。欧米では、1980年代の後半から、ITシステムにおける災害対策の延長として普及してきた。
 日本ではなかなか普及が進まず、東日本大震災後にあずさ監査法人が行った緊急アンケート調査によると、震災前に「首都圏地震」を想定したBCPを策定していた企業は30%しかなかった(調査対象の78%が大企業)。中小企業ではさらに導入が遅れており、東京都が平成21年に行ったアンケート調査では、6%しか普及していないといった数字がある
 導入が進まない背景には、企業トップの認識不足と危機管理意識の欠如、景気低迷の影響、100年に1回のリスクを想定してコストをかけられないなどの理由がある。しかし、今回の東日本大震災を契機に、BCPの見直しを行ったり、新たにBCP策定を検討する企業が増え、さまざまな方面からBCPに対する関心が高まっている。

BCPの目的は、社員の命を守ること、会社をつぶさないこと

 BCP策定については、国や地方自治体、商工会議所などからガイドラインが出され、①BCPの基本方針を決め、②重要業務を特定し、③事業継続対策を決定し、④BCP文書を作り、⑤演習と改善を行う、といったBCP策定の手順が示されている。マニュアル通りにやろうとするとお金も手間もかかりそうで、これが企業に二の足を踏ませる一因となっている。極端な話、BCPの目的は社員の命を守ることと、会社をつぶさないことなのだから、そのために何をやらねばならないかを考え、できるところから手をつけていけばいいのである。
 大地震の際、どのような企業でもとる初動動作は、社員の安否確認と事業所の被害状況の把握だろう。社員は安全か、オフィスや工場の被災状況はどうか、工場の稼働は可能か、もし支障があるなら復旧にどれくらい時間がかかりそうか・・・・。ところが、真っ先に行うべき安全、安心の確認ひとつとっても、今回、地震や津波による直接の被害がなかった東京で、安否確認の携帯電話が通じないという問題点が浮上してしまった。通信の途絶で、多くの企業が情報収集に時間を要し、情報が入らないことでビジネスに支障を来した会社もあったようだ。

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